法医学の明日を見つめて

日本大学医学部社会医学系法医学分野のブログです。

カフェインの話

 こんにちは。今日は、身近な薬物であるカフェインについて話したいと思います。

 カフェインは、キサンチン誘導体の一種で脳の中枢神経の興奮作用、筋肉の緊張をほぐし疲労を回復する効果、利尿作用などがあることが知られています。特に脳の作用が強く、その覚醒作用から眠気防止の薬として薬局で販売されています。

 カフェインは、コーヒーやコーラ、お茶などの飲料に含まれています。特にコーヒーでの含有量が高く、コーヒーを飲むとカフェインの効果がよく見られ、飲み慣れていない人は夜眠れなくなると言われています。近年ではエナジードリンクの主成分として用いられ、誰でも容易にカフェインを服用することが出来ます。

 カフェインの効果を期待して、朝からコーヒーを飲む人は多いです。薬の吸収は通常服用30分後から急激に上昇するので、効果は30分後に顕著に表れます。裏技として、どうしても眠たい時はコーヒーを飲んで30分寝ます。すると、30分後にカフェインの覚醒作用が見られて、スッキリと起きることが出来ます。(ただし、個人差あり)

 カフェインは中毒域が高いので、特に法律で規制されていません。そのせいか安全な薬物だと思われていますが、薬理効果があるので大量に服用すると症状が強く出ます。飲んですぐに効果が出ないからといって一度にエナジードリンク数本飲んでしまう人がいますが、大変危険です。眠いからといって1日服用量を超える眠気防止薬を一度に飲むと、生命の危険もあります。

ここで、飲料や薬に含まれるカフェインの含有量を紹介します。

エナジードリンク 0.08~0.16 g(製品1本当たり)
コーヒー 約0.09g/150ml(カップ1杯当たり)
眠気防止薬 0.09~0.2g(1錠当たり。1日服用量0.3~0.5g)

 1本、1杯、1錠当たりのカフェイン含有量は、ほぼ同じです。カフェインの1日の許容量は、0.4gと言われています。飲み物をたくさん飲むことは大変ですが、錠剤であれば大量服用は容易です。成人のカフェインの中毒量は1~3gですので、眠気防止薬の2日分ほどで超えてしまいます。

 過剰にカフェインを取ってしまうと、どうなるのでしょうか?脳を例に挙げると、適量であれば脳が覚醒しますが、刺激が強すぎると逆に興奮しすぎてしまい不眠症や不安、けいれんなどの症状が見られるようになります。近年では、眠気防止薬の過剰摂取により、カフェイン中毒で死亡する事例も報告されています。

 カフェインは、用法用量を守ると非常に有用な薬物です。皆さんも、カフェインの取り過ぎには注意しましょう。